私のノート(1982年5月28日付)に、次のようなレシピが書いてあります。
オイル 3,
酢 1,
塩、こしょう、ニンニク,
刻んだディル
これを書いた日の数日前に、あるドイツ人のお宅にお邪魔しました。奥様が作られた料理の内の一つが、サラダでした。上のレシピはそのドレッシングのものです。サラダが大変美味しかったので、ご主人に尋ねたら、上に書いた奥様のレシピを教えて下さいました。30年以上前のことですが、初めて食べたディルの香りが印象的でした。奥様はカナダ出身の方でしたので、ドレッシングにディルを入れるのが、ドイツの一般家庭で普通だったかどうかはわかりません。
ディル
ディル:Dill(ドイツ語)、dill(英語) は、ハーブの一種です。以前は、余り馴染みのないものだったのですが、最近ではフレッシュなものが一部のスーパーなどで手に入ります。洋風の魚料理などに使われることが多いです。
このレシピを教えてもらった後、自分でドレッシングを作ってみるようになりました。私は、市販のドレッシングは余り買いません。何故か甘いものが多く、私の好みではないからです。
当店のメニューの一つに、サラダ/ヴィネグレット&ディルというのがあります。ヴィネグレット(vinaigrette:フランス語、英語)は、フランス料理の最も基本的なドレッシングで、上記のレシピは、ニンニクとディル以外は、ヴィネグレットそのものです。
ヴィネグレット(vinaigrette)の作り方
先ず、酢に塩を入れ、塩を溶かします。塩をひとつまみずつ足しながら、味を確認します。塩が多すぎると塩辛く、少ないと酸っぱい。使う酢によっても、酸味が異なるので、塩の量も違います。いい塩梅(あんばい)、つまり塩辛さと酸味のバランスで決めます。何度かやってみて慣れてくると、酢と塩の量も決まると思います。そこにオイルを少しずつ入れて、ビーター(泡立て器)でかき混ぜながら、乳化させます。こしょうを入れれば、ヴィネグレットのできあがりです。こしょうは、最初に入れておいてもOKです。
料理という程の大げさなものではありません。それでも自分で作れるようになると、好みの味にすることができますし、中に入っているものがわかっていて余計な添加物が入っていないのがいいですね。
当店のドレッシングは、ヴィネグレットにディルを入れています。ディルの香りを嗅ぐと、30数年前のことを思い出します。
初めて食べたのにおいしいと思ったのは何故なのか?
味覚というのは本当に不思議なものだと思います。