飲食店にとって、メニューはお客様に提供する料理を伝える大事な手段です。開店当時、メニューを作るのにかなり苦労しました。今でも、たまに改訂しますが、相変わらず難しいと思います。
メニューの一部は、英語も併記しています。適当な英語表現を探すのは、なかなか難しいものです。
イカゲソ炒め
「イカゲソ炒め」というのがあるのですが、ゲソは”下足”とも書きますし、日本語では”イカの足”とも言うので、”Pan-fried squid legs”と訳してメニューに載せました。暫くして、気になったので調べてみると、ゲソは”squid arms”と言うそうです。英語では、”イカの足”ではなく、”イカの腕”なのですね。慌てて、”Pan-fried squid arms”と修正しました。
キュウリもみ
あるお客様に伺った話なのですが、「キュウリもみ」という料理名を”Cucumber massage”と英訳した人がいるそうです。確かに、キュウリは英語でcucumberですし、”もみ”は、肩や腰をもんだりすることをマッサージ”massage”と言うので、「キュウリもみ」を”Cucumber massage”と訳すことも可能かも知れませんが、本当にメニューに記載したかどうかは知りません。
外国のお客様
英語を併記するのは、当然外国のお客様を意識してのことです。外国の方が来店することはそんなに多くはありませんが、たまに入ってこられたときは、英語を母国語としていない国からのお客様でも、ある程度メニューを理解して頂けます。
お世話になった方
実を言うと、英語でメニューを書いた本当の理由は、私が30数年前に大変お世話になったある方が、もしかしたら当店に来て頂く機会があるかも知れないと思ったからでした。もうお若くはない方で、遠い所から来られるのは難しいと思っていたのですが、今年(2017年)の3月に亡くなられた、と奥様からの手紙で知りました。しばらく闘病中だったようです。初めてお宅に伺ったのは、クリスマスの頃でした。まだ小学校の低学年ぐらいのお嬢さんが2人いて、ゲームをしていました。普段は仲良く遊ぶのですが、この時は途中でケンカを始めました。ゲームの名前は”怒っちゃダメ”という意味だと聞いた記憶があります。私がまだ20代後半の頃のことです。残念ですが、もうお会いできないと思うと寂しいです。メニューの英語は、しばらく残しておくつもりです。