いほり看板

Chef&Okami_Hew



店の内装について

「廬 いほり IHORI」の内装は、知り合いのイノウエ建築工房に御願いしました。住んでいるマンションのリフォームを考えていた時、住居に関する色々なことを教えて頂こうと住まいの勉強室に参加したのがきっかけで井上さんを知りました。井上さんは、店舗だけでなく一般の住宅も数多く手がけていらっしゃいます。
店の内装を決める時に念頭に置いていたのは次のようなことです:
(1)普通の民家の内装になるべく近いものにしたい
(2)健康に配慮した場所にしたい
(3)木をなるべく使って居心地よくしたい
(1)は、「店名について」にも書いたのですが、店のコンセプトとして我が家のようにくつろいで頂くということを考えていたことによります。普通の居酒屋の雰囲気とはちょっと違うのではないか、と思います。
(2)は、特に上記「住まいの勉強室」で教えて頂いたことが基になっています。イノウエ建築工房にお願いした理由の一つでもあります。
壁は漆喰です。腰板、床および棚の部分に木を使っています。木部の塗装は、腰板やドアなどは職人さんがやってくださいました。

木部のオイル塗装について

カウンター、テーブル、棚は、自分でオイル塗装を施しました。床は、職人さんにやって頂いた塗装の上に、補強のためオイルを自分で塗りました。オイル塗装の良いところは、DIYで自分でもできること、身体に安全な塗料を選択できること、ニスなどに比べて無垢の木の肌触りが保てること等です。ついた汚れも拭き取れば余り気になりませんし、汚れがひどくなったらサンドペーパーをかけてもう一度オイルを塗ればいいので、メンテナンスは楽です。
使ったオイルは、以下の通りです。
・ミズナラ用:アルドボス、クノス
・針葉樹用 :メルドス、クノス
・床板用  :ハードクリアオイル
アルドボス、メルドス、クノスは、ドイツのLIVOS社製で、商品の説明書には「汗・唾液に対して安全性についてもドイツ規格(DINEN71part3)に合格していますので、幼児用製品、テーブルや食品に触れるものにも安心してお使いいただけます。」と記載されています。クノスは、特に耐水性を上げるために使用します。液体がこぼれても、汚れがしみ込みにくくなります。
ハードクリアオイルは、ドイツのKREIDEZEIT社製((株)プラネットジャパンとの共同開発)です。土足用の床板には、下地にカラー塗料が塗られています。約3年経っても下地の色が殆ど変化していないので、補強の効果はありそうです。

木を使うことについて

(3)は、私の趣味の一つが木工ですので、私自身の好みということですね。木の空間は、リラックスさせてくれるので落ち着きます。
私の木工の師匠(奈良市に工房を持つ木工作家)に、カウンター用の板とテーブルを作って頂きました。どちらも木はミズナラです。カウンターの板は、奈良市の倉庫に伺って選んだ1枚板です。木というのは、ひねくれたところがある物の方が魅力的なことが多々あるので、何枚かの中からちょっと個性的なのを選ばせてもらいました。ひび割れのある部分には、黒檀の「チギリ」を自分で入れました。「チギリ」は、割れを防ぐという目的と視覚的なデザインと言う意味を併せ持ったものです。ちょっとしたアクセントになっており、愛着もわいています。
この店が開店して2年半ほど経ちますが、私の生活はかなり変わりました。朝から夜まで店にいて、仕込みだけでなく、新聞を読む、ホームページを作る、本を読む、発注する、在庫の管理をする、食事をする、等々色々なことを店でやっています。これまでの所、長時間店にいることによって健康上の問題は発生していません。自分が食べている食事と過ごしている環境ということに限って言えば、店は私にとってはとりあえず大きな課題はなさそうです。
お客様にとっては、高々数時間滞在するだけですので、自分の考えていることがどこまで意味があるかはわかりませんけれど、もしゆったりした気分で過ごせて頂けたらうれしいです。